お金のこと

生命保険のリビングニーズ特約とは??? メリットとデメリットから詳しく解説

多くの生命保険で、申込みの際によく言われるのが「リビングニーズ特約は無料だから付加しておきましょう」、「説明は受けているけどよく分からない」って、よく耳にしますよね!

masasan
masasan
こんな疑問にお答えします。

記事の信頼性

筆者は、終活・相続専門独立系FPとして30年超。公的金融機関で5年、独立後現在に至ります。日頃は、介護従事者、及び相続関連仕業等の専門家と協働で、多くの方からの相談を受けています。

 

目次

■リビングニーズ特約とは

■リビングニーズ特約のメリット

■リビングニーズ特約のデメリット

■まとめ

 

■リビングニーズ特約とは

リビングニーズ特約とは、生命保険の中で死亡保険に付けられる特約で、医師により余命期間6カ月以内と診断されると、前もって保険金の全部又は一部を受け取ることができます。

死亡保険の加入するときの多くの目的は、被保険者(保険がかけられている人)の死後、遺族の生活を支えることです。しかし、保険金を受け取ることで本人(被保険者)が高度な医療を受けることができたり、家族との思い出作りをすることが出来たりします。

 

赤クジラ
赤クジラ
へ~それは良さそうな特約だね
masasan
masasan
そうなんだよね、ただ、一定のルールがあるから、メリットとデメリットを見ながら解説していこう

 

 

■リビングニーズ特約のメリット

1.特約保険料は無料、受取額の上限額は3,000万円まで

リビングニーズ特約は、保障内容が追加される特約ではなく、死亡保険金の全部又は一部を前払いするような特約のため、特約に対する保険料は必要なく、無料で付加することができます。

また、受け取れることができる金額は3,000万円までです。例えば、5,000万円の死亡保険金があっても、受取可能な上限は3,000万円となります。

3,000万円に満たない場合は、その保険金額の範囲内での受け取りになります。

(保険会社や商品によって上限が異なる場合があります)

 

2.受け取った生前給付金は何に使ってもよい

受け取った保険金の使い道に制限はありません。特別な医療を受けることや、家族での旅行費用に使うこともできます。

 

3.受け取った生前給付金は非課税

リビングニーズ特約を活用して受け取った生前給付金は、非課税になります。所得税、住民税はかかりません。

※ 税務の取扱いについては2021年11月時点の税制等によるもので、将来変更されることもあります。変更された場合は、変更後の取扱いが適用されますのでご注意ください。詳しくは、税理士又は所轄税務署にご確認ください。

 

4.家族等が代わって請求できる(指定代理請求特約)

リビングニーズ特約の請求する人は原則本人(被保険者)ですが、本人(被保険者)の意思表示が困難であるなど、保険金などを請求できない特別な事情があるときは、指定代理請求が可能で、あらかじめ指定しておいた指定代理請求人が請求できます。指定代理請求人は、配偶者、直径血族、兄弟姉妹、同居の3親等以内の親族がなることができます(各保険会社によって異なる場合があります)。

 

5.受取後の保険料は下がる

例えば、死亡保険金5,000万円に加入中の契約をリビングニーズ特約で3,000万円受取った場合、残った生命保険契約の死亡保険金は2,000万円(5,000万円 ー 3,000万円)となります。よって、2,000万円の保険金に対する生命保険料になり、安くなることになります。

 

6.6カ月を超えて生存していても返さなくてよい

生前給付金は、余命6ヶ月以内など一定の余命期間と診断されれば受け取ることは可能ですが、余命期間以上を生存していたとしても返す必要はありません。

 

 

■リビングニーズ特約のデメリット

1.受け取って余ったお金は相続税の対象(死亡保険金に対する非課税枠には適用されない)

リビングニーズ特約により生前給付金を受け取った後に、本人(被保険者)が亡くなり、その給付金に未使用分があれば、本人の保有していた本来の財産として相続税の課税対象となります。

※ 税務の取扱いについては2021年11月時点の税制等によるもので、将来変更されることもあります。変更された場合は、変更後の取扱いが適用されますのでご注意ください。詳しくは、税理士又は所轄税務署にご確認ください。

 

2.本人に余命がばれてしまう可能性がある

本人に余命を宣告していない場合、指定代理請求人等がリビングニーズ特約を利用して生前給付金を受け取ることが可能です。

ところが、生前給付金を受け取った後に、家計の資金に余裕ができたり、支払っている保険料が下がったことで保険の内容を本人が確認し、リビングニーズ特約の利用がばれてしまう可能性があります。保険会社は、契約者・被保険者からの確認であれば事実を話さなければならないので、意図せず本人(被保険者)が余命宣告を受けたことがばれてしまう可能性があります。

 

3.死亡時の保険金額が減る

リビングニーズ特約を利用して生前給付金を受け取った場合、死亡保険金から差し引かれることになります。そのため、加入時に遺族の生活資金のため等で予定していたお金が減ってしまうので、事前に家族と相談しておく必要があるでしょう。

 

4.分割での受け取りができない

リビングニーズ特約を利用して生前給付金を請求することは1回のみです。

「死亡保障3,000万円の保険金のうち2,000万円を生前給付金で受け取った後に、追加しで1,000万円受取りたい」ということはできません。受取金額については、事前に十分検討しておきましょう。

 

■まとめ

リビングニーズ特約は、余命6カ月以内になったときに、保険金を前払い的なかたちで受け取ることができる特約です。治療のためや、残りの人生をよりよく生きるために保険金を活用できるのです。そして、無料で付けることができるのです。

また、利用するかどうかについては、生前給付金を請求する際に決めればいいので、付けない手はないと思います。

実際に利用する際は、税金等にも関係してくるので、生前給付金の金額等は、しっかりと考え、家族とも相談して決めるようにするといいと思います。

現在、生命保険に加入している人は一度確認してみましょう。途中で付けることが可能な保険商品やできない保険商品があるので、一度生命保険募集人に相談してみたらいかがでしょうか。

 

※当ブログは、顧客のデータを参考にしつつ具体的な数値を事例として取り上げ、その事例に基づく抽象的な税のプランニング、及び一般的な税法の解説などの範囲で行います。税理士業務である税務代理・相談等を行うことができません。個別の税務取扱につきましては、税理士や所轄税務署等にご確認ください。

 

ABOUT ME
masasan
終活・相続専門のファイナンシャルプランナー/業歴30年超/50代男性