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相続対策の生命保険活用、使える商品はこれだ!

 

相続対策も兼ねて生命保険で資産運用したいんだけど、運用が悪そうだから貯金で持っていた方が良いの?」「生命保険で相続対策をしようと思ったけど、マイナス金利で商品がないの?」

masasan
masasan
こんな疑問にお答えします。

 

本記事のテーマ

相続対策の生命保険活用、使える商品はこれだ!

 

記事の信頼性

筆者は、終活・相続専門独立系FPとして30年超。公的金融機関で5年、独立後現在に至ります。日頃は、介護従事者、及び相続関連仕業等の専門家と協働で、多くの方からの相談を受けています。

 

 

目次

■基本的な生命保険商品の種類を整理

■相続対策で適している生命保険の種類は?

■相続対策の生命保険活用、使える商品これだ!

 

読者さんへのメッセージ

生命保険には、相続において預貯金や有価証券にはない強みがたくさんあります。

 

相続に生命保険は必要か?相続に生命保険が強い理由5選!これから相続対策を検討している人で 「相続には生命保険が必要」 「相続に生命保険は強い」 「相続対策に生命保険は欠かせない」 ...

 

ですが、商品の選択を間違えると、その強みは使えません。

 

相続対策に使える生命保険の条件としては、①相続対策としての永続性、②資産運用としての貯蓄性が、重要です。

 

赤クジラ
赤クジラ
具体的に教えてほしいなあ!
masasan
masasan
はい!では、わかりやすく説明するね!

①は、相続対策で生命保険契約が生前中に満期になってしまった。新たに加入しようとしたら、年齢的、体況上等の理由から契約ができないことに。このようなことが、生命保険にはあります。そのとき、相続対策で生命保険を活用することができなくなってしまいます。

よって、相続対策としての永続性が求められるのです。

 

②は、現金の預け先として生命保険を選択します。掛捨ての保険だと80歳(最近では90歳までの商品もありますが)で終了しますので、必然的に資産としての性質をもった生命保険となります。

よって、資産運用として貯蓄性が優れていることが求められます。

 

ということです。

 

では、これらの二つの条件を前提に、目次にそって、みていきましょう!

 

 

■基本的な生命保険商品の種類を整理

まず生命保険の種類について学びましょう。

基本的には、次の3つに種類は分別されます。

①定期保険

②養老保険

③終身保険

 

 

つづいて、ざっと商品の性格を整理しておきましょう。

 

①定期保険

保険期間が一定期間に限られ、その期間内に被保険者が死亡した場合に死亡保険金が支払われます。

 

②養老保険

保険期間中の死亡に対して死亡保険金が、契約満了時の生存に対して満期保険金が支払われます。

 

③終身保険

保険期間は一生涯続き、死亡に対して死亡保険金が支払われます。保険料の払込方法は、終身払込と有期払込の2パターンがあります。

 

 

以上の3種類が基本です。

 

それから、アクチュアリー(年金数理人)という専門家が、3種類の保険をミックスさせて、多くのお客様に加入してもらえるように、毎年のように生命保険商品を開発しているのです。

 

赤クジラ
赤クジラ
なんか複雑そう、相続対策で使う生命保険もですか?
masasan
masasan
そんなことはありません、ポイントを理解すれば大丈夫! じゃあ、話に戻るね。

 

 

■相続対策で適している生命保険の種類は?

 

では、次に生命保険の種類を比較してみましょう。

定期保険 養老保険 終身保険
保険料 安い 高い 高い
貯蓄性 低い 高い 高い
死亡保障 高い 普通 普通
死亡の生涯保障 なし

・一定期間更新可能(最長90歳)

・更新時の保険料はアップする

なし

・満期保険金を受け取った時点で保障は消滅する

・最長満了90歳

あり

 

 

 

永続性 × ×
貯蓄性 ×
種類評価 ×

 

・定期保険

保険料が安いのは魅力的だけど、期間が限定されてしまう。最近90歳まで無診査で更新できる商品を某保険会社が発売したけど、人生100年時代には対応しきれていません。掛け捨て保険で、90歳を超えて長生きしたら、それまでの保険料は返却ゼロでそれまで支払ってきた保険料は戻ってきません。

相続対策としての種類評価×

 

 

・養老保険

定期保険同様に、期間が限定されてしまう。養老保険も最長満了90歳で、それを超えたら相続対策としての生命保険活用は終了です。(90歳で受け取った満期保険金を、90歳で加入できる一時払い終身保険に加入する選択はありますが条件は悪くなります)

運用面では、現在は低迷が続いています。保障と貯蓄を同時に手に入れることができるという、もっともわかりやすい生命保険であるということから、マイナス金利政策前までは、長く中心的な存在でした。

相続対策としての種類評価△

 

 

・終身保険

払込期間は、資産状況、相続対策の内容によって正確に設計をしなくてはなりませんが、死亡保障は一生涯続きます。よって、加入年齢によりますが、生涯にわたり納税資金対策、遺産分割対策、税軽減対策、すべてに対応することができます。

相続対策としての種類評価〇

 

ということで、相続対策として適している生命保険の種類は、一生涯保障される終身保険ということがわかりました。

しかし、相続対策で、養老保険に貯蓄のつもりで、たくさん加入している人、よく見かけます。そのような人は、満期になったら対策は終了してしまうんです。

 

ところで、貯蓄型の王道であった円建ての保険商品は、2016年(平成28年)1月の日本銀行が導入したマイナス金利政策から今日まで、市場から殆どなくなりました。やっと見つけても、0.00%に近い予定利率で、貯蓄型とはいいがたいものです。

わかりやすく言うと、積立てたお金より、将来使うかもしれない、解約返戻金の方が、受取額が減っちゃうということです。

 

赤クジラ
赤クジラ
じゃあ、損するんだったら生命保険使うの嫌だなあ?
masasan
masasan
そうですよね、そう思ってしまいますよね。では、実際に使える商品があるか見ていきましょう!

 

■相続対策の生命保険活用、使える商品これだ!

 

相続対策では終身保険が適していることは確認できました。

そして、次に学ばなくてはいけないのが、資産運用としての貯蓄性です。

相続対策とはいえ、万一生前中に、医療費や介護費用等が必要になって、自分のために使えるお金が無くなってしまったら、相続対策で預けている終身保険を使います。

自分の老後にも使える可能性を残し、相続対策にもなっている状態がベスト、なので、できるだけ運用条件の良い終身保険を選択したいですよね。

 

相続対策=死亡保険金 → 万一の時は相続資金

資産運用(老後資金)=解約返戻金 → いざという時使える資金

こんな感じです。

 

ということで、終身保険を商品別に見ていきましょう!

 

次の表は、現在、市場で販売されている、円建て終身保険、変額終身保険、外貨建て終身保険の比較表です。(平準払い)

円建て終身保険 変額終身保険 外貨建て終身保険
予定利率 低い 運用による 高い
実質利回り 低い(元本割れあり) 運用による 高い
運用種類 一般勘定 特別勘定 一般勘定
死亡保障の最低保証(円) ×
為替 米ドル・豪ドル・ユーロ
リスク インフレリスク 変動リスク 為替リスク
運用関係等の費用 なし あり なし
為替手数料 なし なし あり
解約控除 なし あり なし

この比較表をもとに、保険商品の設計書の数値を見ながら具体的な特徴を確認していきましょう!

 

本表は、某国内で営業しているS生命保険会社による終身保険の設計書データです。

設計条件として

被保険者60歳女性

死亡保険金1,000万円(外貨建ては分かりやすいように100,000米ドル)

払込期間は10年

保険料は月払い

 

・円建て終身保険

経過年数(年) 年齢 払込保険料累計(円) 解約返戻金(円) 返戻率(%)
61歳 941,880 412,000 43.7
62歳 1,883,760 1,243,000 65.9
63歳 2,825,640 2,083,000 73.7
64歳 3,767,520 2,933,000 77.8
65歳 4,709,400 3,793,000 80.5
10 70歳 9,418,800 8,272,000 87.8
15 75歳 9,418,800 8,622,000 91.5
20 80歳 9,418,800 5,954,000 95.0
29 89歳 9,418,800 9,452,000 100.3
30 90歳 9,418,800 9,496,000 100.8

[死亡保険金について]

死亡保険金1,000万円に対して保険料払込総額9,418,800円なので、死亡保険金に対する元本割れリスクはなし。

[解約返戻金について]

一般勘定の運用なので、将来受け取れる解約返戻金は確定。

解約返戻金が保険料の払込総額を上回ることが、ほぼありません。

29年先にやっと100%に到達。→ インフレリスク

仮に、老後資金としてお金が足りなくなって75歳で解約の場合

解約返戻金は8,272,000円、解約返戻率は87.8%

1,146,800円の損が発生します。

 

保険料払込総額 < 死亡保険金

保険料払込総額 ≧ 解約返戻金 → 89歳から  保険料払込総額 ≦ 解約返戻金

 

・変額終身保険

経過年数 年齢 払込保険料累計(円) 解約返戻金(円)
61歳 1,134,828 運用による
62歳 2,269,656 運用による
63歳 3,404,484 運用による
64歳 4,539,312 運用による
65歳 5,674,140 運用による
10 70歳 11,348,280 運用による
15 75歳 11,348,280 運用による
20 80歳 11,348,280 運用による
30 90歳 11,348,280 運用による

[死亡保険金について]

死亡保険金1,000万円に対して保険料払込総額11,348,280円なので、死亡保険金に対する元本割れリスクはあり。

[解約返戻金について]

特別勘定で運用するので将来受け取れる解約返戻金は変動します。→ 変動リスク

※ 但し、特別勘定での運用とドルコスト平均法の活用により、運用成果が出た場合は死亡保険金や、解約返戻金が上乗せされ、夫々に期待が持てます。また、死亡保険金を減らさずに、運用成果により途中での成果分だけを引き出すことができる保険会社もあります。

変額終身保険の運用について、詳しくはこちらの記事「」を読んでください。 → 作成中

 

保険料払込総額 ? 死亡保険金

保険料払込総額 ? 解約返戻金

 

・外貨建て終身保険

経過年数(年) 年齢 払込保険料累計(USドル) 解約返戻金 (USドル) 変戻率(%)
61歳 7,765.20 4,000.00 51.5
62歳 15,530.40 10,430.00 67.1
63歳 23,295.60 17,000.00 72.9
64歳 31,060.80 23,710.00 76.3
65歳 38,826.00 30,560.00 78.7
10 70歳 77,652.00 67,390.00 86.7
15 75歳 77,652.00 73,460.00 94.6
19 79歳 77,652.00 78,260.00 100.7
20 80歳 77,652.00 79,430.00 102.2
30 90歳 77,652.00 89,740.00 115.5

[死亡保険金について]

死亡保険金100,000米ドルに対して保険料払込総額77,653米ドルなので、死亡保険金に対する米ドルベースでの元本割れリスクはなし。但し、為替リスクあり。

[解約返戻金について]

一般勘定の運用なので、将来受け取れる解約返戻金は確定。(米ドルベース)

解約返戻金が保険料の払込総額を上回るのは19年後の79歳のとき。(米ドルベース)

仮に、

①老後資金としてお金が足りなくなって75歳で解約の場合

解約返戻金は73,460米ドル、解約返戻率は94.6%

4,193米ドルの損が発生します。(例として1米ドル=100円の場合は419,300円)

②介護費用でお金が必要79歳で解約の場合

解約返戻金は78,260米ドル、解約返戻率は100.7%

解約返戻金が保険料の払込総額を上回りました。

※ 他に為替手数料や、保険契約関係費及び資産運用関係費、また一定期間に解約した場合の解約控除等の費用がマイナスされます。

 

外貨ベースで

保険料払込総額 ≦ 死亡保険金

保険料払込総額 ≧ 解約返戻金 → 79歳から 保険料払込総額 ≦ 解約返戻金

 

まとめ

もう一度、おさらいです、相続対策の生命保険活用、使える商品は終身保険です。

そして、終身保険の中からの選択は

・資産運用は断念、途中で降ろさないことが前提で相続資産として減らしたくないのであれば、円建て終身保険。

・為替リスクは許容範囲での資産運用、円建てよりも利息に期待したいのであれば外貨建て終身保険。

・ある程度のリスク(変動リスク)をとっても資産が増えることに期待し、老後資金としても活用の可能性があるのであれば、変額終身保険。

という結果になりました。

この結果は、S生命保険会社によるものです。全体的な終身保険の現状を理解するのには、こちらでいいと思います。

実際には、年齢・性別・保険期間等の条件で終身保険の内容も変わりますので、複数の保険会社を取り扱うことができる、保険募集人さんに相談してみてくださいね。

※当ブログは、生命保険及び損害保険の募集人資格はなく、保険商品の説明、契約締結の勧誘、保険契約の申込み受領、その他の保険契約の締結の代理又は媒介は行いません。具体的な保険商品の説明及び申込み等は、お近くの保険会社又は保険募集人等にご確認ください。

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終活・相続専門のファイナンシャルプランナー/業歴30年超/50代男性