・どうせ借金しかないから放棄するつもり
・実家は田舎で家は古いし、放棄したほうがいいよね?
・相続放棄って、借金を相続しなくても済むんだよね?
こんな疑問におこたえいたします。
記事の信頼性
公的金融機関出身/独立後相続コンサル30年超/終活事業者/士業との協働で相続問題に携わる/保険代理店経営の経験あり/MBA/経営管理修士/FP/任意後見人受任者/民事信託組成チーム/50代/男性
読者へのメッセージ
最近、相続放棄を選択する人が増加しています。
最新の司法統計によると、2016年では197,656件だったのが、
2023年には、282,785件と1、5倍、前年の2022年260,497件からも1割弱増加しています。
単純に高齢社会化や、価値のない田舎の土地や空き家、いわゆる“負動産”を引き継ぐことなどが原因のようです。
とすれば、相続放棄すれば税金は関係なくなるのか、と思われがち。ですが、相続放棄は、他の相続人に影響することになるので、簡単な問題としてはいけません。
本記事では、相続放棄を検討する際の注意点を考察していきます。
目次
■相続放棄とは?
■手続き
■メリットとデメリット
■今のうちからできること
■相続放棄とは?
相続人が相続をしない意思表示を相続放棄といいます。この場合、はじめから相続人とならなかったものとみなされます。そのため、プラスの財産とマイナスの財産の両方をすべて受け取らないことを意味します。一部の相続人が相続した場合、放棄者以外の共同相続人のみが相続することになります。代襲相続は発生しません。
ここでワンポイント:生命保険金は、本来の財産ではないので、受取人固有の財産として放棄者でも受け取ることができます。但し、みなし相続財産として相続税の対象になり、法定相続人×500万円=非課税は使うことはできません。
■相続放棄の手続き
・手続き
被相続人の財産の調査
相続放棄の意思決定
家庭裁判所へ申述(※相続開始を知った日から3ヶ月以内)
裁判所からの照会書に回答
相続放棄申述受理通知書の受取り
・必要書類
相続放棄申述書(裁判所HP等で入手)
被相続人の住民票除票又は戸籍附票
申述人の戸籍謄本
収入印紙800円分(申述人1人につき)
郵便切手(返信用)
■メリットとデメリット
〇メリット
相続人の借金を引き継がなくても良い
遺産分割のトラブルに巻き込まれることがなくなる
(遺産分割協議への参加はしなくてもよくなる)
相続税の基礎控除、生命保険の非課税枠は減らない
〇デメリット
プラスの財産も引き継ぐことができなくなる
相続放棄の撤回はできません
放棄後にプラスの財産(現金や不動産等)が見つかっても受け取ることはできない
新たな相続人への負担が重くなる可能性がある
(新たな相続人とのトラブルの可能性)
■今のうちからできること
会ったこともない親族が増え、またインターネット口座や暗号資産など把握しずらい財産が増えている昨今、相続放棄を選択するのが難しくなっています。
相続放棄には期限があるので、今のうちから資産状況を整理して、万が一の時にはスムーズな対応ができるようにしたいですね。
