「エンディングノート」もらったけど
・全部書かないといけないの?
・何を書けばいいの?
・遺言書の違いって?
本記事のテーマ
簡単エンディングノートの作り方 書いておきたい項目8選
目次
■1.そもそもエンディングノートって何?
■2.エンディングノートと遺言書の5つの違い
(1)法的効力の有無
(2)記入方法
(3)内容
(4)作成費用
(5)開封のタイミング
■3.エンディングノートの作り方 書いておきたい項目8選
(1)自分自身のこと
(2)資産について
(3)家族・親族
(4)友人について
(5)医療・介護について
(6)財産管理について
(7)葬儀・お墓について
(8)遺言・相続について
■4.エンディングノートのメリットとデメリット
■5.エンディングノートの選び方とまとめ
本記事の信頼性
筆者は、終活・相続専門独立系FPとして30年超。公的金融機関で5年、独立後現在に至ります。日頃は、介護従事者、及び相続関連仕業等の専門家と協働で、多くの方からの相談を受けています。
読者さんへのメッセージ
本記事は「エンディングノートはもらったけど、何も手を付けていない人や、途中までの人や、どうやって書いていいかわからない」に向けて書いています。
では、さっそく見ていきましょう。
■1.そもそもエンディングノートって何?
エンディングノートとは、もしものときに備えて、自分の情報を記入したり、想いを書いておくノートのことをいいます。
書店や文房具店などでは専門コーナーが設けられているほど、色々なものが販売されています。
無料で配布する自治体やメモリアルホールなども増えています。もちろん、一般のノートを使用しても問題ありません。
エンディングノートに何を記入するかは、特に決まりはありません。
エンディングノートを書き残すもっとも大切な目的は、病気やケガ等で体が不自由になった場合や、亡くなった際に、家族に自分の情報や思いを伝えて、各種手続きをスムーズに行えるようにすることです。
家族の負担を減らすために、情報や思いを書いておく必要があるのです。
最近では、高齢者が終活を始める入口的な役割だけの印象が強いですが、30代・40代の人も、もしものときに備えて書く人も増えています。
■2.エンディングノートと遺言書の5つの違い
(1)法的効力の有無
→ エンディングノートに法的な効力はありません
(2)記入方法
→ エンディングノートに記入方法の決まりはありません
(3)内容
→ エンディングノートの記入内容は自由に決められます
(4)作成費用
→ エンディングノートは記入する際の費用は安いです
(5)開封のタイミング
→ エンディングノートは生前中や、死後すぐに内容を確認できます
このように、エンディングノートは、遺言書に比べて気楽に作成ことができます。
ただし、人に知られたらいやなことも、市販のエンディングノートには記入する項目があるので、どこまで記入すればいいか、難しい面もあるんです。
■3.エンディングノートの作り方 書いておきたい項目8選
①自分自身のこと
まずは、自分自身に関する情報を書きます。健康保険証や運転免許証、パスポートなどを記入しておくことで、紛失したときの備忘録として役にたちます。
②資産について
・預貯金
口座を開設している金融機関をすべて記入します。使っていない口座の整理も行います。
・自動引き落とし
金融機関の口座から自動引き落とし(口座自動振替)されているものを記入します。
※人が亡くなると、その人の預貯金口座は凍結され、お金の引き出しができなくなり、自動引き落としもできなくなります。
・有価証券、その他の金融資産
有価証券では、特に株や債券の複雑な商品など、本人しかわからないことが多いので、できるだけ具体的なことを記入します。商品名・銘柄、口数などの詳細は取引報告書を転記します。
その他の金融資産では、純金積立や、ゴルフ会員権などについても、内容を記入します。
・不動産
所有する不動産について記入します。一戸建ては土地と建物を別々に記入します。登記簿の記載内容も記入します。
・借入金・ローン
借金等の負債は相続財産になります。知人の借金の保証人になった場合の保証債務も相続の対象となります。家族が借金や保証債務について知らないと、借金や保証債務まで相続してしまい、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があるので、必ず書いておきましょう。
・クレジットカード
カード番号は一部を「××××」として記入します。紛失時の連絡先を記入しておくともしもの時に便利です。
注意:有効期限・暗証番号は記入してはいけません。不正に利用される恐れがあります。
暗証番号は別の紙に書いて、別で管理してください。
・保険について
生命保険・医療保険・個人年金保険・火災保険・自動車保険など、もしもの時に自分自身や家族(生命保険は特に家族が請求することが多い)がきちんと漏れなく請求できるように、契約内容を記入します。
[記入内容]生命保険・医療保険
保険会社・商品名・保険種類・保障(補償)対象・契約者・被保険者・保険金受取人・証券番号・保険料払込期間・保障(補償)期間・保険料(払い方含む)・担当者(又は保険会社のお客様コールセンター)連絡先等を記入します。
※ 個人年金保険は、上記と、年金の受取額・受取開始・受取期間も記入します。
※ 火災保険は、地震保険の付帯の有無を記入します。
契約が多かったり、内容が複雑な場合で、専属の担当者がいれば別で作成してもらうのも良いでしょう。
【生命保険の見直しについて】
老後に備えて保障本来のことや、保険料削減も大切ですが、相続対策に対応しているかの見直しも重要です。生命保険は、預貯金や有価証券にないものがあります。①相続税の非課税枠500万円×法定相続人=非課税、②受取人固有の財産であり、みなし相続財産として本来の相続財産からは原則外れる(遺産分割対象外財産)、など他にももっとあります。
③家族・親族・家族構成図
家族の住所・電話・携帯電話・メールアドレス・勤務先等をまとめておきます。
親族は、付き合いのある人の名前・住所・電話・携帯電話・メールアドレスを記入します。さらに、もしものときの入院時の連絡、葬儀時の連絡を「する・しない・どちらでもいい」も書きましょう。
家族構成図は、本人・配偶者・子ども・孫・兄弟姉妹の四世代は最低必要です。作成後に、将来の相続において起こりそうな家族関係の問題点も事前に見えてきます。
対策をするきにも役に立ちます。
④友人・知人について
友人・知人は、名前・住所・電話・携帯電話・メールアドレスを記入します。さらに、もしものときの入院時の連絡、葬儀時の連絡を「する・しない・どちらでもいい」も書いておきましょう。
⑤医療・介護について
「医療」は、健康管理に必要な情報を記入します。常用している薬・お薬手帳の保管場所・かかりつけの病院(担当医師・電話番号)・特病・病歴等です。
終末期医療・延命治療は、家族や代理人にとって選択が難しくなります。遺される人への負担を軽減してあげるためにも、自分自身の希望や意思を書きます。
病名と余命告知の希望・延命治療の希望の有無・臓器提供の希望・献体の希望等です。
「介護」は、交通事故や病気・ケガ、認知症などで判断能力が衰えたり、コミュニケーション能力が低下したときのために、記入します。
そして、介護になったときの自分自身の考えや希望を書きます。
介護は自宅か施設又は家族に任せるのか・指名したいケアマネージャー・自宅介護は家族の誰にお願いするか・希望する介護施設・具体的介護施設・費用・財産の管理等です。
⑥財産管理について
もしものときに、どのように財産を管理するかを書きます。準備をしない場合は、弁護士など知らない人が財産を管理する可能性もあります。
高齢になって、見も知らない人に財産を管理されるって考えたくない人も少なくないと思います。
[財産の管理方法]
(ア)任意後見契約・・・将来認知症になったら、財産管理などを第三者に依頼する制度
(イ)法定後見制度・・・既に認知症になったときに、家庭裁判所で選ばれた後見人が財産を管理する制度 → 適任者が選ばれるか保証がない等問題点は多い
(ウ)財産管理等委任契約・・・元気な人が、体が不自由になった際にそなえて契約する制度、任意後見契約は認知症になってからの活用のため、任意後見契約と財産管理委任契約を合わせて結んでおくことが望ましいです。
(エ)民事信託契約・・・家族に財産管理を任せる契約、家族のための信託といわれています。
⑦葬儀・お墓について
葬儀は、宗旨・宗派の希望形式について記入します。さらに、種類や場所も加えておくとことで、残された親族間でのトラブルを防ぐことができます。また、事前に準備していることがある場合も内容を記入します。
お墓は、既に持っている場合は、お墓の名称・所在地・連絡先・契約者・継承予定者等を記入します。新たに持つ場合は、希望を記入します。
先祖代々のお墓・新たに購入・合祀の永代供養簿・納骨堂・樹林葬・自宅においてほしい・散骨してほしい・特に考えていない、等です。
⑧遺言書・相続について
遺言書は、作成しているか記入します。さらに、遺言書の種類や、遺言執行者、依頼している専門家を記入していると家族や大切な人の不安を軽減してあげることができます。
相続は、誰に・何を・相続させたいか記入します。しかし、エンディングノートは法的効力がないので、相続では遺言書を作成します。
エンディングノート、遺言書の作成をしながら、ご自身の相続があった場合の手続きを想定しておくことも大切です。
その中で、相続税の支払う可能性があって、専門家の力が必要になりそうであれば、ご自身がお元気なうちに相続を強みとした税理士や、紹介してくれる人を探して、配偶者やお子さんに伝えておくことも終活の一つかもしれません。
※ 専門家に手伝ってもらう
どうしても書きたいのに書けない、ペンが止まってしまうなど、自分自身でエンディングノートを作成することができない場合は、専門家に手伝ってもらうこともありかと思います。
エンディングノート作成専門家の一例
・ファイナンシャルプランナー(FP)
老後の資産運用やライフプランを一緒に検討したい人
費用は比較的安め
・弁護士・司法書士
引き続き遺言書の作成を検討したい人
費用は比較的高め
専門家に依頼する場合は何を中心に書きたいかを考えて選択するといいと思います。
■4.エンディングノートのメリットとデメリット
・メリット
(1)病気や、入院、事故、災害などの緊急時の備忘録になります
(2)預貯金や、資産、保険などを整理できて、自分自身のライフプランづくりに使えます
(3)介護や、終末医療、お葬式、相続などで、自分の思いを確認することができます
(4)情報を遺言書作成に使えることができます
・デメリット
(1)法的な拘束力がありません
自由に書けることが良さではありますが、遺言書とは異なり法的な効力はありませんので、財産の引継ぎなどの相続対策としては役に立たないでしょう。
(2)保管方法が難しい
個人情報や自分の事を詳しく書くほど、あまり人には見られたくはありません。とはいっても、家族に見つけられないようでも困ってしまいます。
その場合は、見られてもいいものと、見られたくないもの、2部に分けて作成して、見られていいものは、本棚等に保管して家族に伝えておきましょう。
見られたくないものは、別の場所に保管しておきましょう。
因みに遺言書は、公正証書遺言も自筆証書遺言も有料ではありますが、保管方法に悩むことはありません。
(3)定期的な見直しが面倒
親戚や知り合いの連絡先は、数年後には携帯電話番号・メールアドレス等が変わっていることはよくある話です。
また、自身の考えや状況も変化することもあると思います。
内容が昔のままだと、情報が古く、機能を満たせなくなります。
エンディングノートは定期的な見直しは面倒ですが、やっておかなければ意味をなさないのです。
■5.エンディングノートの選び方とまとめ
エンディングノートは、無料のものと有料のもとがありますが、書きやすければ、どちらを使ってもいいでしょう。
極端な話、書き方は本記事を参考にして、普通のノートに書いてもぜんぜん問題ありません。
ただ、有料のものは、記入方法や記入するうえでの、法律などの必要な資料がついていることが多いので、良いかもしれません。
項目ごとの解説を見ながら、書けるところから書けば、ぜんぜん苦痛になりません。
いきなりぜんぶを書くのは大変ですから、時間があるときに1項目ずつ自分情報の記載から進めていきましょう。
参考に、人気エンディングノートを3つご紹介しておきますね!
弁護士監修
「相続と遺言書の基礎知識」があって、遺言書も一緒に書きたいという方向け
行政書士監修
暗証番号を保護するシール付き
認知症や終末期の備えを万全にしておきたい人向け
FP(ファイナンシャルプランナー)監修
まずは緊急時の備忘録としての役割り
自分自身のライフプランを優先に書きたい人向け