相続

【相続手続きスケジュール】死亡後の手続きの流れとチェックリスト

配偶者(親)等が死亡した後の手続きを教えてください?

masasan
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こんな疑問にお答えします。

 

本記事のテーマ

【相続手続きスケジュール】死亡後の手続きの流れとチェックリスト

 

記事の信頼性

筆者は、終活・相続専門独立系FPとして30年超。公的金融機関で5年、独立後現在に至ります。日頃は、介護従事者、及び相続関連仕業等の専門家と協働で、多くの方からの相談を受けています。

 

読者へのメッセージ

配偶者(親)等の親族が亡くなると、悲しいことを実感している間もなく、直ちにしなくてはならない手続きが始まり、しばらくは手続きに追われることとなります。

手続きは、しなかったり、遅れてしまった場合は、ペナルティが課される場合があるので要注意です。

手続きの内容が難しいものは、専門家に依頼をするのをお勧めします。しかし、相続関係の専門家に依頼する場合は費用が高額になるので、難しくないものは、ご自身ですることも検討しましょう。

専門家に依頼するとき、何をどの専門家に依頼するのか、依頼する専門家は分かっていても、その専門家の中にも専門性があるから、「誰に依頼したらいいかわからない」、「専門家の選択を間違えたらいやだなあ」といったこと声が多く見られます。

生涯で相続の専門家に仕事を依頼することってそんなにあるものではありません。そんな中で、希望通りの専門家に出会うためには、生前中に時間をかけて探しておくことをおススメします。ただ、「仕事の依頼をしないのに会いずらい」とか、「士業等は敷居が高くて、今から会うのはちょっとイヤだなあ」っていう人は、紹介してくれる信頼のある人を見つけて仲良くなっておくだけでもOKです。こうした行動で、専門家選びの間違えリスクを最小限にすることができます。

本記事は、届け出先、期日に分類してわかりやすく手続き内容をマニュアル化しています。手続きの際にご活用ください。

※ 変更している場合もありますので、実際に手続きをする場合は事前に手続き先にご確認ください。

 

 

目次

■主な届け出先

■その他の届け出先

 

■主な届け出先

・市区町村役場

・年金事務所又は年金相談センター

・税務署

・家庭裁判所

 

・市区町村役場

7日以内 死亡診断書の取得、死亡届の提出、死体埋葬火葬許可証の取得
14日以内 国民健康保険証又は後期高齢者医療制度証の資格喪失手続(*1)
14日以内 介護保険の資格喪失手続
14日以内 世帯主変更届の提出
2年以内 死亡一時金請求(国民年金加入の場合)
2年以内 葬祭費(国民健康保険被保険者の場合)(*1)
5年以内 遺族基礎年金請求(国民年金加入の場合)
5年以内 寡婦年金請求(国民年金加入の場合)

(*1)は同時手続きで手間を省けます

 

〇死亡診断書の取得、死亡届の提出、死体埋葬火葬許可証の取得

手続き:死亡を知った日から7日以内(国外で亡くなった場合は、3か月以内)

届け先:死亡地、死亡者の本籍地、届出人の住所地のいずれかの市区町村役場

届出人:同居の親族、その他の同居者(同居してない親族も同居人となることができる)、家主、地主又は家屋もしくは土地の管理人、後見人等もなることができる(詳しくは市区町村役場の戸籍係に問い合わせ)。

これからの手続きに必要となる死亡診断書(A3用紙で、死亡診断した医師が届書右側記入、左側にある死亡届欄はこちらで記入)を、病院から発行してもらいます。

病院で亡くなった場合は、医師から右半分(死亡診断書)を記入され、事件などで亡くなった場合は警察から右半分(死体検案書)を記入してもらいます。そのため、右半分には何も記入しないでください。

死亡届を提出する際に、同時に埋火葬許可の申請を行います。このときに交付されるのが火葬許可証で火葬をするのに必要となります。そして、火葬をした後に、納骨をする際に必要な埋葬許可証をもらいます。

ワンポイント①:葬儀にかかった費用は記録しておくこと

臨終からの通夜、葬儀、告別式でかかった出費、僧侶へのお布施、飲食代、火葬代等が相続税を計算する際に相続財産から控除することができます

領収書の保管と、お布施やお車代、手伝ってくれた人への謝礼といった領収書のない支出もメモしておきましょう

ワンポイント②:被相続人の預貯金口座は引出し入金ができなくなる

葬儀後に個人が取引していた銀行等の金融機関に死亡の届けを行います。

死亡届等によって金融機関が死亡の事実を知ると、個人の預金口座や貸金庫等の取引は停止されます。相続手続きが終了するまでは預金の引出しはできなくなるので、当面の生活費や葬儀費用の支払いで困らないように事前の対策をしておきましょう。

また、口座振替もストップしますので、故人の口座から振替になっていた電気、ガス、水道等の公共料金の支払い方法の変更と、契約者の名義変更もしておきましょう。

さらに、クレジットカードや携帯電話があれば、解約手続きをしておきましょう。

ワンポイント③:死亡診断書はコピーを10部くらいとっておく

生命保険の請求や死亡したときの証明など、今後の手続きで死亡診断書が必要になります。改めて、死亡診断書を発行すると余計な費用がかかるので、多めにコピーしてことをおススメします。

 

 

〇国民健康保険又は後期高齢者医療制度の資格喪失手続

期限:14日以内

届け先:被相続人の住所の市区町村役場

返却するもの

・国民健康保険被保険者証

・後期高齢者医療保険被保険者証

その他、国民健康保険高齢受給者証、福祉医療費医療証、身体障害者手帳等も返却します。

 

(*1)葬祭費(国民健康保険被保険者の場合)

国民健康保険又は後期高齢者医療制度(75歳以上の人などが加入)の被保険者が亡くなった場合、多くの自治体で葬儀を行った人に葬祭費を支給していますので、可能であれば葬祭費の請求も一緒にしておきましょう。

期限:2年間

必要書類:葬儀社の領収書

※健康保険の資格喪失手続の場合は、通常は事業主を通じて資格喪失届とともに返却します。

 

 

〇介護保険の資格喪失手続

期限:14日以内

届け先:被相続人の住所の市区町村役場

返却するもの

・介護保険被保険者証

 

 

〇世帯主変更届の提出

期限:14日以内

届け先:故人の住所の市区町村役場

必要書類等

・本人確認書類

・国民健康保険証などの各種医療証(該当者のみ)

現在の世帯主から現在の世帯員の誰かに世帯主を変更する手続です。残された世帯員が一人の場合、もしくは残された世帯員が15歳未満の子供とその親権者の2人の場合には、世帯主変更の届出が必要ありません。

 

〇死亡一時金請求(国民年金加入の場合)

期限:2年以内

届け先:故人の住所の市区町村役場(年金事務所又は年金相談センターでも可)

必要書類等

・故人の年金手帳

・戸籍謄本又は法定相続情報一覧図の写し

・個人の住民票(除票)及び請求者の世帯全員の住民票の写し

・受取先金融機関の通帳等

 

〇遺族基礎年金請求(国民年金加入の場合)

期限:5年以内

届け先:故人の住所の市区町村役場(ただし、死亡日が国民年金第3号被保険者期間中の場合は、年金事務所又は年金相談センター)

必要書類等

・年金手帳

・戸籍謄本又は法定相続情報一覧図の写し

・世帯全員の住民票の写し(*2)

・死亡者の住民票の除票(*2)

・請求者の収入が確認できる書類(*2)

・子の収入が確認できる書類(義務教育終了前は不要、高等学校等在学中の場合は在学証明書または学生証 等(*2)

・死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書

・受取先金融機関の通帳等

(*2)は、マイナンバーを記入することで添付を省略できます

 

〇寡婦年金請求(国民年金加入の場合)

期限:5年以内

届け先:故人の住所の市区町村役場(年金事務所又は年金相談センターでも可)

必要書類等

・年金手帳

・戸籍謄本(記載事項証明書)

・世帯全員の住民票の写し

・死亡者の住民票の除票

・請求者の収入が確認できる書類

・受取先金融機関の通帳等

・年金証書

 

 

・年金事務所又は年金相談センター

10日以内 年金受給停止の手続き(厚生年金・共済年金)
14日以内 年金受給停止の手続き(国民年金)
2年以内 埋葬料・埋葬費・家族埋葬料(健康保険)
2年以内 高額療養費の請求手続き
5年以内 遺族厚生年金請求(厚生年金)

 

 〇年金受給停止の手続き(厚生年金・共済年金)

期限:10日以内

届け先:年金事務所又は年金相談センター

必要書類等

・被相続人の年金証書(返却)

・戸籍抄本又は住民票の除票など

 

〇年金受給停止の手続き(国民年金)

期限:14日以内

届け先:年金事務所又は年金相談センター

必要書類等

・被相続人の年金証書(返却)

・戸籍抄本又は住民票の除票など

 

〇埋葬料・埋葬費・家族埋葬料(健康保険)

期限:2年以内

届け先:年金事務所又は年金相談センター

必要書類等

・健康保険証(返却)

・火葬許可証若しくは埋葬許可証、または死亡診断書 (すべてコピー可)

 

〇高額療養費の請求手続き

期限:2年以内

届け先:年金事務所又は年金相談センター

必要書類等

・健康保険証

・費用の領収書

・印鑑

・受取先金融機関の通帳、等

 

〇遺族厚生年金請求(厚生年金)

期限:5年以内

届け先:年金事務所又は年金相談センター

必要書類等

・年金手帳

・戸籍謄本又は法定相続情報一覧図の写し

・世帯全員の住民票の写し(*3)

・死亡者の住民票の除票(*3)

・請求者の収入が確認できる書類(*3)

・子の収入が確認できる書類(義務教育終了前は不要、高等学校等在学中の場合は在学証明書または学生証 等(*3)

・死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書

・受取先金融機関の通帳等(本人名義)

(*3)は、マイナンバーを記入することで添付を省略できます

 

・税務署

4ヶ月以内 所得税の確定申告(準確定申告)
10ヶ月以内 相続税の申告

 

〇所得税の確定申告(準確定申告)

期限:4カ月以内

届け先:税務署

必要書類、記入方法等については、税務署に相談。

又は、税理士に依頼。

 

〇相続税の申告

期限:10カ月以内

届け先:税務署

必要書類、記入方法等については、税務署に相談。

又は、税理士に依頼。

 

 

・家庭裁判所

3ヶ月以内 相続放棄または限定承認

 

〇相続放棄または限定承認

期限:相続開始を知った日から3カ月以内

届け先:家庭裁判所

必要書類:相続放棄

・相続放棄申述書

・申述者の戸籍謄本

・被相続人の戸籍(除籍)謄本

・住民票の除票

必要書類:限定承認

・限定承認申述書

・申述人の戸籍謄本

・被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本、住民票の除票

亡くなられた方と疎遠だった等の理由によって、3ヶ月の期間内に財産の調査が終了せず、相続するかの判断ができない場合は、家庭裁判所への申立てにより3ヶ月の期間を延長することができます。

 

■その他の届け出先

3年以内 死亡保険金の請求
遺産分割後 不動産の所有権移転登記(名義変更)
遺産分割後 預貯金の名義変更
遺産分割後 有価証券の名義変更
遺産分割後 生命保険契約の権利(契約者変更)
遺産分割後 火災保険の名義変更

 

〇死亡保険金の請求

期限:3年以内(かんぽ生命は5年)

届け先:保険会社

必要書類は、保険証券(不要の場合もある)、死亡診断書のコピー、被保険者の住民票、受取人の戸籍謄本、印鑑証明書等といったところであるが、生命保険会社によって異なるので、加入中の生命保険会社に確認してください。

また、死亡保険金は、相続税の対象となる契約において以下のような注意点がある

・法定相続人1人につき500万円まで非課税

・保険商品によって、一括受取り又は年金として分割受け取りを選択できるケースあり

早めに生命保険のプロに相談したいところだ

 

〇不動産の所有権移転登記(名義変更)

期限:遺産分割後~すみやかに

届け先:不動産所在地の法務局

必要書類等

・遺産分割協議書

・相続人全員の戸籍謄本、住民票、印鑑証明

・除籍謄本

・権利書

・固定資産税評価証明

・印鑑、等

又は、司法書士に依頼。

  

〇預貯金の名義変更

期限:遺産分割後~すみやかに

届け先:預入先の金融機関

必要書類等は、金融機関で異なります

 

〇有価証券の名義変更

期限:遺産分割後~すみやかに

届け先:証券会社、株式発行法人

必要書類等は、各社で異なります

 

〇生命保険契約の権利(契約者変更)

期限:遺産分割後~すみやかに

届け先:生命保険会社

必要書類等は、生命保険会社で異なります

 

〇火災保険の名義変更

期限:遺産分割後~すみやかに

届け先:損害保険会社

必要書類等は、損害保険会社で異なります

 

※ 法定相続情報証明制度

法定相続情報証明制度は,登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し,併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を出していただければ,登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付します。

その後の相続手続は,法定相続情報一覧図の写しを利用いただくことで,戸除籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなります。

死亡保険金の請求する際の提出資料として、代替利用ができるものがあるかもしれないので、事前に届け先に確認してください。

 

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終活・相続専門のファイナンシャルプランナー/業歴30年超/50代男性