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ざっくり公的介護保険とは?民間介護保険との違いも見ながら

公的介護保険がよく分からないので、全体のしくみを教えてほしい

民間介護保険とはどう違うの?

 

masasan
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こんな質問にお答えします。

 

本記事のテーマは

公的介護保険とは?民間介護保険との違いも見ながら

 

記事の信頼性

筆者は、終活・相続専門独立系FPとして30年超。公的金融機関で5年、独立後現在に至ります。日頃は、介護従事者、及び相続関連仕業等の専門家と協働で、多くの方からの相談を受けています。

 

読者さんへのメッセージ

公的介護保険は、急速な高齢化が進む中で、高齢者の適切な介護を保障するため、2004年に導入された社会保険制度です。

本記事では、公的介護保険の仕組みから、具体的に公的介護保険の対象となる人や、受けられるサービス内容について解説します。また、「公的介護サービスでは足りない」という方のために、民間介護保険にも開設します。

是非、参考にしてください。

 

目次

〇 公的介護保険のしくみ

〇 公的介護保険で受けられるサービス

〇 支給限度額と自己負担割合

〇 高額介護サービス費

〇 その他利用者の費用負担

〇 民間介護保険との比較

 

〇 公的介護保険のしくみ

40歳以上のすべての人が公的介護保険の被保険者として、特別な手続きをしなくても自動的に住所地の保険者(市区町村)に加入することになっています。そして介護保険料を収め、介護が必要になったときに介護サービスを受けることができます。

但し、被保険者は、第1号被保険者を65歳以上、第2号被保険者を40歳以上65歳未満に、分類され、それぞれ給付要件が異なります。

第1号被保険者 第2号被保険者(※1)
対象者 65歳以上の人 40歳以上65歳未満の人
利用条件 要介護状態・要支援状態になった場合 老化が原因とされた16種の特定疾病により、要介護状態・要支援状態になった場合

 

(※1)老化が原因とされた16種の特定疾病

1 がん(末期)

2 関節リウマチ

3 筋萎縮性側索硬化症

4 後縦靱帯骨化症

5 骨折を伴う骨粗鬆症

6 初老期における認知症

7 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病

8 脊髄小脳変性症

9 脊柱管狭窄症

10 早老症

11 多系統萎縮症

12 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症

13 脳血管疾患

14 閉塞性動脈硬化症

15 慢性閉塞性肺疾患

16 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 

 

要介護度の判定

要介護度 (※2)要介護認定等基準時間
要支援 要介護基準認定時間が1日25分以上32分未満
要介護基準認定時間が1日32分以上50分未満
要介護 要介護基準認定時間が1日32分以上50分未満
要介護基準認定時間が1日50分以上70分未満
要介護基準認定時間が1日70分以上90分未満
要介護基準認定時間が1日90分以上110分未満
要介護基準認定時間が1日110分以上

(※2)要介護認定等基準時間:直接生活介助、間接生活介助、問題行動関連介助(徘徊、不潔行動などの行為に対する探索、後始末などの対策行為のこと。主に認知症患者の介護に際して必要となる)、機能訓練関連行為、医療機関行為の5分野について計算される介護に必要な時間。

 

 

要介護度 基   準
要支援 日常生活に支障はないが要介護状態とならないように一部支援が必要な状態
歩行などに不安が見られ、排泄・入浴などに一部介助が必要で身体機能に改善の可能性がある状態
要介護 立ち上がりが不安定でつえ歩行の場合があり排泄・入浴などに一部介助を要する状態
立ち上がりなどが自力では困難で排泄・入浴などに部分的介助ないし全介助が必要な状態
立ち上がり・起き上がりなどが自力でできずに排泄・入浴・衣服の着脱など日常生活全般に部分的介助ないし全介助が必要な状態
寝たきりに近く排泄・入浴・衣服の着脱など日常生活全般に全介助が必要な状態
日常生活全般に全介助が必要で意思伝達も困難な状態

 

 

〇公的介護保険で受けられるサービス

公的介護保険から受けられる介護サービスは「予防給付」と「介護給付」に分類されます。

また、介護サービスの種類として、居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービスがあり、居宅サービスと地域密着型サービスは合わせて利用することができます。

要支援1~要支援2の人 要介護1~要介護5の人
介護予防給付 介護給付
・居宅サービス

介護予防訪問入浴介護/介護予防訪問看護/

介護予防訪問リハビリテーション/

介護予防居宅療養管理指導/

介護予防通所リハビリテーション/

介護予防短期入所生活介護/

介護予防短期入所療養介護/

介護予防特定施設入居者生活介護など

・地域密着型サービス

介護予防認知症対応型通所介護/

介護予防小規模多機能型居宅介護/

介護予防認知症対応型共同生活介護など

・施設サービス

受けることはできない

・居宅サービス

訪問介護/訪問入浴介護/訪問看護/

訪問リハビリテーション/居宅療養管理指導/

居宅介護支援/特定施設入居者生活介護など

・地域密着型サービス

定期巡回/臨時対応型訪問介護看護/

夜間対応型訪問介護/地域密着型通所介護/

認知症対応型通所介護/

小規模多機能型居宅介護/

認知症対応型共同生活介護/

地域密着型特定施設入居者生活介護

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護/

看護小規模多機能型居宅介護など

・施設サービス

介護老人福祉施設/介護老人保健施設/

介護療養型医療施設/介護医療院など

 



〇支給限度額と自己負担割合

公的介護保険には、介護度によって支給限度額が決められています。

そして介護サービスの利用者は原則、所得に応じて介護報酬の1割から3割をサービス使用料として自己負担します。但し、(※2)「居宅介護支援と介護予防支援」は、費用負担はありません。介護報酬の全額を保険者が負担します。

(※2):利用者が自宅で自立した日常生活を送れるようにケアプランを作成、またケアマネージャーはそれに基づき適切な介護事業者との連絡及び受け入れの確認と契約締結を手伝います。ただ、限度額以上のサービスを希望したい場合は、全額自己負担により受けることは可能です。

公的介護保険が適用する、介護サービスごとに決められた基本的なサービス利用料金を介護報酬といいます。その単位は、1単位=10円が基本で、地域や賃金によって異なります(最高1単位=11.40円)。

 

次の表は、イメージしやすいように、1単位=10円で1カ月当たりの支払限度額をまとめたものです。

単位:月額

介護度 在宅サービスの支給限度額 1割負担額 2割負担額 3割負担額
要支援1 50,320円 5,032円 10,064円 15,096円
要支援2 105,310円 10,531円 21,062円 31,593円
要介護1 167,650円 16,765円 33,530円 50,295円
要介護2 197,050円 19,705円 39,410円 59,115円
要介護3 270,480円 27,048円 54,096円 81,144円
要介護4 309,380円 30,938円 61,876円 92,814円
要介護5 362,170円 36,217円 72,434円 108,651円

介護度が高くなるにつれて自己負担の額も大きくなることが分かります。少ない年金から支払うのも相当な負担になるかもしれません。

 

 

〇高額介護サービス費

利用者の費用負担が一定額を超過した場合には、高額介護サービス費制度によって、超えた部分は申請により給付を受けることができます。

2021年度の制度改正によって高額介護サービス費の上限額は引き上げられています。

 

区分 世帯の負担上限額
(2021年度新設)年収約1,160万円以上 140,100円(世帯)
(2021年度新設)年収約770万円~約1,160万円 93,000円(世帯)
年収約383万円~約770万円 44,400円(世帯)
市町村民税世帯非課税 24,600円(世帯)
年金80万円以下等 15,000円(個人)

 

 

 

〇その他利用者の費用負担

通所・短期入所・施設サービスや特定施設における食事、滞在費、家賃、管理費、教育娯楽費、交通費などは利用者の自己負担になります。

また、今まで通り働けなくなった時の収入減、介護する人の短時間勤務や退職による収入減等は、公的介護保険ではカバーできないので、家族への間接的な負担になってきます。

 

 

〇民間介護保険との比較

民間介護保険とは、公的介護保険では補えきれない介護負担を軽減するためのもの(保障等)です。

まず、違いを整理しておきましょう。

公的介護保険 民間介護保険
給付形式 現物支給 現金支給
給付額 要介護度による 金額設定は自己決定
加入対象 40歳以上から強制加入 任意加入
給付対象 65歳以上:要介護度による

40歳~65歳未満:特定疾病に限り要介護度による

被保険者
保険料(支払方法・設定) 65歳以上:市区町村ごと

40歳~65歳未満:公的医療保険と一括納付(徴収)

年齢や加入条件、商品等による

 

税制優遇 社会保険料控除 一部が介護医療保険料控除
保険料支払い免除 なし 保険商品による
支払先 各市区町村 各保険会社等

 

[ポイント]

①公的介護保険は介護そのもののサービスを提供する現物支給に対して、民間介護保険は介護保険金又は介護年金等を受け取る現金給付という形式をとっています。

 

②公的介護保険の強制加入に対して、民間介護保険は任意加入であること。自分自身で申し込まない限り民間介護保険に入ることはありません。公的介護保険では不安で、民間介護保険を検討する際、様々なタイプのものがあるので、将来のライフプランを通じて、介護サービスを満足するものにするために、じっくりと自分に合ったものを選びましょう。

 

③公的介護保険は、40歳より加入するが、介護サービスが年齢によって限定(40歳~65歳未満は特定疾病になった場合での要介護状態)される。一方、民間介護保険に限定はなく、40歳以下であっても加入していれば各保険会社のルールのもと、要介護状態になったら介護保険は受給できます。

 

④実際に介護保険の給付を申請する場合、公的介護保険はケアマネージャーがしてくれることが殆どです。

一方、民間介護保険は、受取人は被保険者本人ですが、本人は介護状態ですので、多くの場合家族等の親族が申請することが予想されます。家族が申請で困らないように前もって話しておくことや、民間介護保険の給付条件や申請手続きは、煩雑ではないものを選択するのもひとつです。

 

[民間介護保険のメリット・デメリット]

メリット

介護状態において経済的な安心が得られます

40歳未満や40歳~65歳未満で介護になった際、特定疾病以外でも給付が受け取れます

公的介護保険が適用されない費用負担に対応することができます

 

 

デメリット

保険料の負担があります

要介護認定を受けても給付条件に満たない場合は受取れません

体況上等の加入条件があるので必ず加入できるとは限りません

 

 

〇まとめ

公的介護保険についてみてきましたが、内容はいかがでしたか。

公的介護保険ですべてをカバーすることは難しいと感じられ、民間介護保険に関心を持たれた方も、多かったかと思います。

公的介護保険を理解して、将来の備えとしてやはり民間介護保険をお考えになりたいという人は、より保障内容が充実したものである以外に、次のことをポイントに検討されることをおススメします。

 

払い方

一時金タイプ(介護一時金)、年金タイプ(介護年金)、併用タイプ(一時金と介護年金)の3種類があります。

 

契約方法

①主契約に介護特約を付加して契約、②主契約を介護保険として契約、③他種類の契約で保険料満了時に介護保障に契約変更、があります。

 

給付金請求手続き

実際に、給付金を請求するのは、要介護状態の本人では難しく、家族等の親族がすることになるでしょう。請求者の負担も考え、できるだけ手続き等請求方法が面倒ではないものを選びたいものです。

また、給付金請求書とは別に毎年介護状態である証明を提出しなければならない保険会社が多いです。

それは医師に作成してもらうので有料です。そして実際に給付金を受けられればいいですが、所定の要介護状態でなければ給付は受けられません。

例えば、今年は要介護認定2で支給開始、しかし、翌年要介護認定1に戻った場合、支給対象から外れる保険会社は少なくありません。

こと細かく給付金対象条件を指定している保険会社も多いです。

公的介護保険認定のみ条件とされている保険会社で、一度支給対象とされたら変わらず生存している限り対象で、それも要介護認定1で支給開始の保険会社も存在しておるのです。

まずは、FPに相談してみはいかがでしょうか。

 

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終活・相続専門のファイナンシャルプランナー/業歴30年超/50代男性